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動物ブログ

我々の身近な親友、犬、猫について(1)

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このブログを始めるにあたっての前書き

人間は決して単独で生きている訳では無く人間同士、または食用として、ペットとして、家畜として多くの生き物とつながりを持って何とか生活しているのが現実だと私は考えています。そういう状況の中で「私は動物が嫌いだ」とか極端な人は「人間が嫌いだ」とか平気で言えるある意味おかしな世の中になってしまっていると私は最近感じています。学術的には「人」という個体自体が類人猿科のホモサピエンスという生物でありながら「人間が嫌い」という理屈が成り立たないのが解らないのか、毎日食べている食料が他の動植物であるのを理解できていないのか、こういう人の考え方が私には全く解りません。

はっきり言えば人間の文明の進歩も人間だけで築き上げたものでは無く、多くの他の動物の力を借りて今日の文明が存在するわけで、食料としての牛や豚や鶏、乗り物としての馬の存在、狩猟や番犬としての犬の存在という家畜や孤独を癒すためのペットとしての猫やウサギや鳥などの小動物の存在は人間の文明の進歩とは深いかかわりを持っています。

では何故私がこのブログを始めるのにあたってまず「犬、猫」を取り上げるのかといえばこの2種類の動物は最も人間生活に直結しており他の家畜やペットとは全く違う存在になりうるからです。犬、猫はペットという枠を完全に抜け出して飼い主の家族や親友になりうる唯一の人間以外の動物であり、あらゆる意味で他の動物とは違います。

現在少子化に悩まされている日本でさえこの2種類の動物の飼育数は増え続けており、ペットフードの消費量から考えて15歳以下の子供よりも数が多いのは確実だと考えられます。しかもこの「犬」「猫」はともに肉食獣であり、本来は人間と対立していてもなんの不思議も無い動物です。それにもかかわらず現代でも彼らは人間と最も近い位置にいる事は明白であり最も信頼できる人間のパートナーになっているのは何故なのでしょうか?    理由はいくつもあるでしょうし学者は学術的な解釈をいくつも出して来るでしょうが素人である我々一般人にはなかなか理解するのは難しいと私は思っています。「犬」「猫」に関しては多くの飼育やしつけなどの専門書も出版されており月刊雑誌さえ複数出版されていますがこうした根本的な事柄に触れたものは私はあまり拝見しておりません。そうであれば私なりの考えをブログに書こうと考えたのがこのブログを始めるきっかけになりました。

単純に言えば先ほどの「何故彼らが人間に最も近いパートナーになりえたのか?」という回答は意外と簡単であり、極めて高い知能と優れた適応能力を持っているという一点に尽きると思います。しかしそういう視点だけで見れば例えば一部の類人猿やその他の動物でも「犬」「猫」に負けない知能を持った動物はいくらか存在するのが現実です。それでも人間はその他の動物を人間の身近に置くことを避けて「犬」「猫」だけを選んでいつの時代も人間の身近においてきました。こういう歴史的な事実からも目を背けては駄目だと私は考えています。このブログの主題の最後に(1)と付けたのは他の動物と違ってその起源や人とのつながりを考えるのにはとても一度のブログでは終わらないと考えたからで「人」と「犬」「猫」とのつながりはそんな単純なものでは決して無いと私が判断したからです。彼らが人間に飼われ始めた時代から現在、そして未来まで人間は決して彼らを遠ざけることはありえないと私は考えています。

よく『人間が絶滅した後は「ネズミ」と「ゴキブリ」の世界になる』というような言葉を聞きますが「犬」や「猫」を飼った事のある人、現在も飼育しておられる人はこんな世界が絶対に来ないことはお分かりであると思います。「ネズミ」や「ゴキブリ」はたまたま現在の人間生活に自分たちの住む環境が適合しているために数を増やしているだけであり人間の存在が無くなれば彼らも住む環境を失って減少していく事は明白です。

ところが「犬」と「猫」だけはこの枠からも完全にはみ出している存在です。人間から餌をもらい人間とともに暮らしているように見える彼らですがこの2種類の動物だけは人間から離れても充分に生きていく力を持っています。人間から捨てられても「ノラ犬」「ノラ猫」として暮らし自分自身で食物を見つけ住処を探し自由に生きていく事が可能な唯一の動物です。「ネズミ」などとは比較にならない高い知能を持ち、数日間の空腹にも耐える能力を持ち、与えられた環境に自分たちを適合させ独自の社会性を持つ極めて優れた動物である為に逆に半野生化したこの2種類の動物は人間生活に危害を加える存在に充分になり得ます。現在も「ノラ犬狩り」や「ノラ猫狩り」が行われており各保健所にはその為の専用の部署まで設置されている現実は「人間に飼われている」という前提が無ければこの2種類の動物がいかに人間生活に害を与えるかの証明にもなっています。

ではこの「犬」「猫」とはいったいどういう動物なのでしょうか?

今回のブログではまずは彼らの本来の姿を解明していく事から始めたいと思います。宜しくお願い致します。

肉食獣の定義

「犬」も「猫」も肉食獣ですが他の動物の肉を餌とする動物が肉食獣であるのなら人間も肉食獣になってしまいます。他にもイノシシは動物の肉を好んで食べますしサルの中には群れで狩りをして他の野生動物を食べるものも少なからず存在します。では彼らも肉食獣なのでしょうか?

それは全く違います。人間も含めていくら肉を食べようとも彼らは肉食獣とはかけ離れた存在です。

肉食獣とは学術的には「食肉目」に入っている動物の事で最初から他の動物を餌をする為に進化した動物の事でいくつかの特徴があります。

「犬」や「猫」を飼育されている人は彼らを怒らさないように慎重に彼らの顎を動かしてみていただけると解ると思いますが、両者とも顎は上下にのみ動き決して人間の様に左右に動かないのが解ると思います。これが肉食獣の第一の特徴です。

ハサミを考えて頂ければ解りやすいと思いますがハサミで物が切れるのは上下にのみ動くからであり、左右に動けば決してハサミで物が切れない事はお分かりになると思います。食肉目に属する動物はその強靭な顎の力を上下にのみ動かす事で獲物となる動物に100%顎の力を使う事が可能であり相手に致命的な損傷を与える事が可能になります。

サルの中にもヒヒ類、特にマンドリルなどはヒョウよりも確実に大きな牙を持ち、体重もヒョウとはあまり変わりませんが現実的にはヒョウの獲物にしか過ぎない理由がここにあります。ヒヒの牙が威嚇が目的であるのに対してネコ科であるヒョウの牙は獲物を倒すための実践的な道具です。その道具の威力を100%伝える為に顎は上下にしか動きません。肉食獣の顎は決して左右に動かないように初めから固定されています。

次に鎖骨の退化です。肉食獣は原始的な動物ほど鎖骨が大きく、最も進化したネコ科やイヌ科では鎖骨と呼べるものが殆ど残っていません。攻撃に爪を使い、木に登るネコ科はイヌ科の動物よりも鎖骨が大きいですがそれでも人間と比べれば無いのも同様です。

これは獲物を追いかける為の走力を最大限に発揮する為です。逃げる動物のほうが追いかける肉食獣よりも走力が優れている事はありえない話であり、こんな事があるのであれば肉食獣は飢死してしまいます。

最速で地上を走る動物がネコ科のチーターであるのは有名な話であり、チーターの脚力は走り始めてから2秒で80キロを超え最高時速は100キロを超えます。このスピードは100メートル走を3秒台で走り切る計算になり人間から考えれば恐ろしいスピードです。一見鈍重に見えるライオンでさえ瞬間時速は80キロに達すると言われ総じてネコ科の動物はスピードランナーです。但しネコ科の動物は総じて短距離ランナーであり2キロほどしか全速力で走る事は出来ないようです。

さて、ここで皆様に考えて頂きたい事があります。全速力で2キロも走れる動物を短距離ランナーと呼ぶのは不思議だとは思いませんか?

人間にとって全速力で2キロを走り切ることなどまず不可能です。そんな事が可能であるのであれば1500メートル走は短距離走になってしまいます。ネコ科のスピードランナーたちを短距離ランナーと呼んでいるのはあるもう一つの肉食獣と比較しているからです。

言うまでも無くそれはイヌ科の動物たちです。実は木の上からも獲物を狙えるネコ科と違って走って獲物を捕まえる事に特化して進化したのはイヌ科の動物たちです。ドッグレースを走るグレイハウンドの最高速度は65キロほどであり、野生のイヌ科の動物たちもそんなにスピードは速くありません。但し彼らには驚異的なスタミナがあります。体と比較して大きな口、大きな肺を持つイヌ科の動物はその最高速度で数時間走る事が可能です。勿論捕まえる獲物のほうが足が速い場合も多々ありますが、ひづめを持つ草食獣は数時間も追いかけられるとひづめが熱を持って割れてしまい歩けなくなってしまいます。イヌ科の大型獣はそれを捕まえます。相手のほうが逃げ足が速く姿が見えなくなってしまうことも多いのが現状です。そのためにイヌ科の動物は嗅覚が非常に発達しています。見えなくなった獲物を嗅覚で探し出して最後は捕まえてしまう、これがイヌ科の動物の狩りです。目で獲物を見つけて瞬発力で一瞬で獲物を倒してしまうネコ科と優れたスタミナを生かして鼻で獲物を見つけ出し持久戦で獲物を倒すイヌ科、この両者はともに高等肉食獣でありながら全く違う進化の過程を経て今日の姿があります。

肉食獣の進化

今回のブログの最後の課題として肉食獣の進化について触れておきたいと思います。

肉食獣、正しくは食肉目の一番原始的な形としてクマ科が挙げられていますが、これはクマ類が雑食傾向にある事や冬眠をする肉食獣である為にクマ科が原始的な形である訳ではありません。肉食獣の進化はその歩き方から区別して進化の過程を探る事が出来ます。

よく怒ったクマが二本足で立ちあがって襲い掛かる姿を拝見した事のあるかたも多いと思います。それに対してネコ科やイヌ科の動物が自然の状態で二本足で立ち上がる姿など殆ど見られません。猫が音も無く忍び寄る事が出来るのも、犬が驚異的なスタミナを持って走る事が出来るのもすべてはこの歩き方に原因があります。

クマが二本足で簡単に立ち上がる事が出来るのは人間と同じように常時かかとまでつけて歩行しているからです。そういう意味では人間の足もまだ原始的であると言えると思います。パンダが立ち上がって可愛いしぐさをするのもこの為でこの歩き方を蹠行と呼びこの歩き方をする動物を蹠行性肉食獣と呼びます。

これがもう少し進化すると走る時だけかかとを上げた状態になります。イタチ科やアライグマ科、一部のジャコウネコ科がこれになり、この種を半蹠行肉食獣と呼びます。

そして究極の状態まで肉食獣が進化すると指の先だけで歩き走るようになります。この特徴を持っているのがイヌ科とネコ科です。これは指行性肉食獣と呼ばれて最も進化した肉食獣の特徴です。犬か猫を飼っていらっしゃるかたは足の裏の肉球をよくご覧ください。一見人間の掌の様に見えますがそこは掌では無く、指の付け根です。では犬や猫の掌はどこにあるのかと言えば親指の上のあたりに小さな肉球が見えると思います。そこが彼らの人間でいう掌になります。

この指行性肉食獣にはもう一つ大きな特徴があります。哺乳類の指の数は手、足ともに5本指であるのに後ろ足の指には親指が無く4本指である点です。前足の親指は地面に接していなくても獲物を捕らえる鉤爪となる為に残っていますが指先だけで行動できる為に後ろ足の親指は無用のものとなり退化して地面に設置する4本だけが残っており、後ろ足の親指はありません。この特徴がネコもイヌも高等肉食獣と呼ばれる所以です。

また大脳皮質も非常に発達しており小さいながらもイヌもネコも究極の進化を遂げた肉食獣である事に間違いはありません。

あとがき 

いかがでしょうか? いつも身近にいる皆様の相棒である犬や猫が実はかなり進化した動物である事がご理解頂けたでしょうか?

こういう話をすると猫好きの人からも犬好きの人からも良く聞かれる質問があります。

それは「犬と猫とはどちらが賢いのか?」という質問です。この答えは「解らない」としか言いようが無く動物学者でも答えは出せないと思います。犬と猫とは体形や歩き方まで良く似ており同じような進化の過程を歩んできたように見えますが実際はかなり古い時代から分化しており全く違う動物です。肉食獣の本道を進化してきたのは間違い無くネコ科であり先ほど私が述べた様な進化の道を辿ってきたと考えられます。これに対してイヌ科に近い食肉獣というのはアシカやオットセイなどになってしまいイヌ科以外で陸上で同じ様な進化の道を辿ってきた動物が殆どいないのが現実です。見た目は犬とよく似ているハイエナなどもジャコウネコに極めて近くネコ科に近いのが現実です。イヌ科は多分極めて古い時代に分化した食肉獣が独自の進化を遂げたとしか考えられず結果としてネコ科の動物によく似た形になってしまったとしか考えられません。但しイヌ科自体の分布図はネコ科の動物よりはるかに広く食肉獣で現在最も分布が広いのはアカギツネであり、かつてはアカギツネより分布が広かったのに人間によって絶滅させられて現在では希少な動物になってしまったのがオオカミです。ですから「犬と猫がどちらが賢いのか」など比較できないのが現実です。しかしただ「解らない」では味気ないので一言付け加えさせてもらうと「どちらもかなり賢い」というのが現実です。人間を含むサル類の中でも犬や猫の知能を上回るものはほんの少数派であり両者とも極めて優れた知能を持っている事だけは確かです。だからこそ両者ともただのペットなどでは無く人間の親友に、家族の一員になり得る存在である訳です。

次回のブログは今回の続きとして犬、猫の人間とのつながりの歴史を記述していきたいと思います。宜しくお願い致します。